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第1話冒頭の、春日康介の自己紹介と表情の変化を読んだレビューです。
『分身の術で毎日2倍に増えています』の導入で目を引いたのは、能力の説明よりも先に置かれた康介の人物紹介でした。二十歳という紹介に続き、競争や争いを嫌うという本人の語りが入ります。その言葉と、画面に現れる顔の印象がすんなり重ならないところに、短い場面ながら引っ掛かりが残ります。
黒い余白に浮く白い語りが、自己紹介を一拍ずつ区切る
名前と年齢は、広い黒い空間の中に白い縦書きで置かれています。人物の絵へ進んだあとにも黒い間があり、平和主義という短い言葉、争いを嫌うという語りが離して示される。文章を一度に読ませず、画面を送るたびに一つずつ受け取らせる構成です。
周囲に景色や会話相手を描き込まないぶん、この場面では康介自身の言葉に注意が向きます。説明の量は少ないのに間は長い。その釣り合いによって、ごく普通の自己紹介にも、次にどんな顔が現れるのかを待つ時間が生まれていると感じました。
紫のTシャツの静かな姿から、鋭い光を受ける顔へ
最初の康介は、紫のTシャツを着た姿で下から見上げるように描かれます。茶色の前髪、やや上を向いた顔、胸の黄色い英字が目に入り、背景はざらついた赤紫色。服の平和を掲げる文字と本人の語りが重なり、まずは人物の自己認識を絵でも受け止められます。
ところが、争いを嫌うという言葉のあとに寄った顔では、前髪が目元を覆い、片目だけが強く光っています。顔の大きな影に、鼻や頬の白い光、髪の紫と淡い黄色の縁取りがぶつかる。姿勢を引いて見せたコマから顔いっぱいの接写へ変わるため、同じ人物でも圧迫感がぐっと増します。言葉で示した穏やかさと表情の鋭さのずれが、この自己紹介を印象に残るものにしていました。
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